本日は、大正時代末期から昭和時代初期にかけて、彗星のように輝いた童謡詩人「金子みすゞ」についてご紹介いたします。
明治36年(1903)に山口県長門の漁港・仙崎に生まれたみすゞ(本名テル)は、幼い頃より文学に親しみ、20歳の時に当時全盛を誇っていた童謡雑誌に詩を投稿。詩人・西条八十にその才能を見い出されます。幼いころから培った鋭い感性で、身近な自然や日常の出来事を独自の新鮮な視点でうたった童謡は、次々に雑誌で発表され、読者の心を魅了してゆきました。
しかし、昭和5年(1930)、彼女は26歳という若さでこの世を去ります。以後長らく彼女の実像は知られることはありませんでしたが、近年遺稿集が発見され、児童文学者・矢崎節夫氏の熱意により、没後半世紀を経てその生涯が再び光を浴びることとなりました。みずみずしい感性で綴られた詩が現代の人々を魅了しています。
「星とたんぽぽ」
青いお空の底ふかく
海の小石のそのように、
夜がくるまで沈んでる、
昼間のお星は眼にみえぬ、
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
散ってすがれたたんぽぽの、
瓦のすきに、だァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根は眼にみえぬ、
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
[JULA出版 金子みすゞ全集より]
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